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No.387『ツィゴイネルワイゼン』

1980年 日本映画

鈴木清順監督

『ツィゴイネルワイゼン』


ターンテーブルのクロース・アップ。

サラサーテのレコードに紛れこんだ言葉を

聞き取ろうとする二人の男。


海辺に打ち上げられた女の股から出てくる朱赤の蟹。


替え歌の春歌をうたう三人の盲の門付け。


夢幻の鈴木清順ワールドに引きずり込まれる。

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ブルースと拍子木の間を鳶コートで浮遊する原田芳雄。


男の眼球も水蜜桃も舐めつくす大楠道代。


苦虫を噛み潰し幽玄に弄ばれる藤田敏八。


桃色の乳首を晒しフィンガースナップを切る大谷直子。


切り通しを魔界との端境の如く存在させ、

観客の思考を停滞させる。


この映画自体が幻なのかと疑わしくなる、唯一無二の怪作である。

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