No.385『チャンス』大橋美加7月11日読了時間: 1分1979年 アメリカ映画ハル・アシュビー監督『チャンス』(Being There)ルネ・マグリットの絵画に出てくるような山高帽の後姿。ピーター・セラーズ扮する主人公チャンスが、チャップリンの“tramp“にも重なる。 瀟洒な邸で庭師として黙々と植物の世話をするチャンス。休憩らしき時間はテレビばかり観ている。どうやら彼は“holy idiot“なのかとわかってくる。チャンスが幼いころからの保護者であった邸の主が亡くなり、中年にして初めて、彼は邸の外に一歩を踏み出すことになる。セカンド・ロールである、政界フィクサーの妻に扮するシャーリー・マクレーンが大熱演!ピーセラの“静“、シャーリーの“動“、甲乙つけがたい演技合戦。ニーチェを下敷きにどこか不思議なヒューマン・コメディに仕立てた、ハル・アシュビーの秀作である。
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