No.395『手錠のままの脱獄』大橋美加2 日前読了時間: 1分 1958年 アメリカ映画スタンリー・クレイマー監督『手錠のままの脱獄』(The defiant ones) 社会派スタンリー・クレイマーが描き出す、泥まみれの寓話。無駄コマを削ぎ落とした演出が小気味良い。 雨の夜、護送車の中に響くシドニー・ポワチエの歌声。「うるさい」と立ち上がるトニー・カーティス、二人がひとつの手錠で繋がれていることを知らしめるシーン。ほどなくして、逃避行となる黒人男と白人男。追っ手の保安官、警察犬のトレイナー、地元ヴォランティアらのだらしなさ、噛み合わなさ加減が可笑しい。格好つかないだけに頷ける現実味。長身で脚の長いポワチエ、睫毛バサバサのカーティス。 悪天候のなか、二人を大きく捉えるロケーション撮影が迫力満点。67年前の誤魔化しの利かない過酷な現場が想像できる。 カーティス扮するジャクソンが自分の本心に気づくきっかけとなる、とんでもない悪女に扮したカーラ・ウィリアムズの適度な年増美人ぶりも観どころ。
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