No.388『妻の心』大橋美加13 分前読了時間: 1分1956年 日本映画成瀬巳喜男監督『妻の心』“ヤルセナキオ“にしては、あっさり気味か?成瀬巳喜男と高峰秀子のコラボといえば、どうしても『浮雲』(’55)『女が階段を上がるとき』(’60)『放浪記』(’62)などを想起してしまうから。 空の広い商店街。薬局を営む富田家を切り盛りする”デコさん”演じるヒロイン喜代子は、小林桂樹扮する次男の嫁。長男夫婦は東京で子を育てている。喜代子には一見すぐに叶いそうに思える夢があるが、なかなか一筋縄ではいかない。夫へ、姑へ、兄嫁へ、歯に衣着せるでもないが、本音をすべて吐き出せるわけでもない喜代子。じれったさを絶妙な表情で演じる高峰秀子。窮屈に生きるひとりの女性が、人生の“priority“を自ずと決めてゆく過程を描いた秀作。ラストの喜代子の笑顔にすべてが浄化されるよう。三船敏郎が脇にまわり、オトコの色気を添えるのが嬉しい。 児玉清の糟糠の妻でもあった北川町子が芸者役で婀娜っぽい印象を残す。
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