No.379『父/パードレ・パドローネ』大橋美加6月7日読了時間: 2分1977年 イタリア映画パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督『父/パードレ・パドローネ』(PADRE PADRONE)蛇を鞭がわりに、幼い息子を打ち続ける父親!あまりに衝撃的で、忘れようがない! サルディーニャの貧しい農家に長男として生まれたガヴィーノは、小学校に入って間もなく父親に連れ戻される。このファースト・シーンの演出がすこぶるユニークであり、ラストにも活かされる。父が羊の乳を売りに行く間、山小屋で羊番をさせられるガヴィーノ。二十歳まで文盲であった主人公が、方言研究の言語学者になるまでが、生々しい人間描写と、臨場感あふれる風景描写で綴られる。タイトルにも君臨する暴君の父に扮した名優オメロ・アントヌッティの存在感。今や名匠となったナンニ・モレッティが主人公に言葉の魅力を教える友人役で出演しているのも映画ファンには嬉しいところ。そして、何と言っても実在の言語学者ガヴィーノ・レッダのキャラクターを活かした演出も興味深い。殴るふりして帽子を直す父、オメロが演じると愛嬌あるのよね。思えば、タヴィアーニ兄弟作品を知るきっかけは本作ではなかったか。あまりの土の匂い、風の匂い、人間くささにむせ返り、いささか拒絶反応を起こしかけたが、二作、三作と観ていくうちに、タヴィアーニ・ワールドに慣れ親しんでいった気がする。”カ”の項で『カオス・シチリア物語』(’84)”ク”の項で『グッドモーニング・バビロン!』(’87)を取りあげているので参照を!
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