1973年 アメリカ映画
ジェリー・シャッツバーグ監督
(SCARECROW)
こんなに風の音が鳴っていたのか。
映画史上、最も愛すべき凸凹コンビが往き会う、
ファースト・シーンである。
寒がりの大男マックスにジーン・ハックマン。
剽軽な小男ライオンにアル・パチーノ。
孤独を欲しいままにする男と、
孤独ではないと信じたい男。
人生に怒る男と、
人生に笑いかける男。
”RORD MOVIE”なんて洒落るに似つかわしくない、
男ふたりの旅路。
友とは何だろう。
人と人が出会い、いつから“友”になるのだろう。
大人が「友だちになろうよ」なんて口にするわけはない。
そいつのために怒り、
そいつのために泣く。
ライオンを傷つけたムショ仲間を
マックスが殴り続けるシーンは、
何度観ても涙が出る。
なんの確証も、しがらみも、約束さえない関係こそが
友情なのだと信じてしまう、
アメリカン・ニューシネマを代表する逸品。
名カメラマン、ヴィルモス・スィグモンドの手になる、
アンドリュー・ワイエスを想わせる
風景描写も忘れ難い。