No.393『テナント/ 恐怖を借りた男』
- 大橋美加

- 11月9日
- 読了時間: 1分
1976年 フランス映画
ロマン・ポランスキー監督
『テナント/恐怖を借りた男』(The Tenant)
ポランスキーの女装なんて、
想像しただけで悪夢に魘されそう!



『水の中のナイフ』(’62)に始まり、
ポランスキー作品は数多く観てきたが、
本作は手持ちDVDを整理していて気づき、取り出した一作。
この時期に自ら主演(それも出ずっぱり!)の作品があったとは。
カフカを想わせるストーリー・テリングながら、
ヒッチの"巻き込まれ型主人公"ほどには
観客の同情を買わないであろう、この主人公。
そもそも、何となく胡散臭い男なのである。
身の毛もよだつ物語であるのに、
成るべくして成ったと納得させられてしまう!
イザベル・アジャーニは一見すると役不足だが、
さすが演技派美人女優、
麗しの瞳を眼鏡で隠し、愉しげに脇にまわっている。
シェリー・ウィンタース、
メルヴィン・ダグラス、
ジョー・ヴァン・フリートなど、
映画ファンが喜ぶ達者陣も揃い踏みする。
ベルイマン作品の名手スヴェン・ニクヴィストの手になる
冷たい質感のルックに惹き込まれ、
サイキックな不条理劇の世界へようこそ。






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