大橋美加8月23日No.346『戦火のかなた』1946年 イタリア映画 ロベルト・ロッセリーニ監督『戦火のかなた』(Paisà)2020年にスタートした 手持ちDVDを自宅で観なおす"大橋美加のシネマフル・デイズ"。"ア"に始まり丸4年が過ぎ、現在"セ"の項だが、やはり戦争ものが多い。優れた映画作家たちは、どのようなアプローチで戦争映画を遺してきたかを観なおす機会となった。本作は、第二次世界大戦さなか1943年後半を舞台に、イタリア各地での戦いを6篇のエピソードで綴った構成となっている。逞しく生きる少年と黒人兵とのエピソード2、若い兵士の夢想と、戦争の犠牲となった女性のエピソード3、パルチザンの衝撃的な結末を見せつけるエピソード6、やりきれなさにまみれる。初めて観たときは寓話的にも感じられたが、改めて観なおすとかなりリアルなシーンが多い。劇的演出を避けながらも、ずしんと臓腑に響くストーリー・テリング、さすがロッセリーニ。脚本に後の巨匠フェデリコ・フェリーニの名が輝く。酷い戦禍に散りばめられた様々な"想い"をあらゆる角度から掬いとって見せてくれる力作である。ロッセリーニ作品は"イ"の項で『イタリア旅行』(’54)"ス"の項で『ストロンボリ』(’50)と、妻であったイングリッド・バーグマン主演作を取り上げているので参照あれ。
1946年 イタリア映画 ロベルト・ロッセリーニ監督『戦火のかなた』(Paisà)2020年にスタートした 手持ちDVDを自宅で観なおす"大橋美加のシネマフル・デイズ"。"ア"に始まり丸4年が過ぎ、現在"セ"の項だが、やはり戦争ものが多い。優れた映画作家たちは、どのようなアプローチで戦争映画を遺してきたかを観なおす機会となった。本作は、第二次世界大戦さなか1943年後半を舞台に、イタリア各地での戦いを6篇のエピソードで綴った構成となっている。逞しく生きる少年と黒人兵とのエピソード2、若い兵士の夢想と、戦争の犠牲となった女性のエピソード3、パルチザンの衝撃的な結末を見せつけるエピソード6、やりきれなさにまみれる。初めて観たときは寓話的にも感じられたが、改めて観なおすとかなりリアルなシーンが多い。劇的演出を避けながらも、ずしんと臓腑に響くストーリー・テリング、さすがロッセリーニ。脚本に後の巨匠フェデリコ・フェリーニの名が輝く。酷い戦禍に散りばめられた様々な"想い"をあらゆる角度から掬いとって見せてくれる力作である。ロッセリーニ作品は"イ"の項で『イタリア旅行』(’54)"ス"の項で『ストロンボリ』(’50)と、妻であったイングリッド・バーグマン主演作を取り上げているので参照あれ。
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