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No.313『情事』

1960年 伊・仏合作映画  ミケランジェロ・アントニオーニ監督
(L’averitura)


吹きすさぶ風の音、絶え間なく打ち寄せる波、果てしない海。

逃げ場のない島で、女が消えてしまう。

それも、主人公であるように見えた女が!

残されるのは消えた女の腐れ縁らしい恋人と、

女の親友である冷めた目をしたもうひとりの女。

何て奇妙な映画だろう!



本作を初めて観たのは確か1980年代の特別上映であったはず。

大きなスクリーンに映し出される目を奪う景観に圧され、

虚ろなストーリー展開には煙に巻かれてしまったっけ…


モニカ・ヴィッティが頽廃的な雰囲気から、

”情事"を経て豹変するくだりに愕然とする。

なに?美人なのに男に縁のなかった女というだけのキャラクター?


そして登場する、もうひとりの女。

獣のような目つきの三番目の女が誰かに似ていると気づいてしまったら、

アントニオーニの罠にすっぽり…


不毛の地に愛の泉を湧かせるのは、男か、女か。

つきつけられて、立ちすくむしかない。
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