top of page

No.275『サムライ』

1967年 フランス・イタリア合作映画 ジャン=ピエール・メルヴィル監督

(Le Samourai.)

アラン・ドロンほど“死”のイメージと結びついた美男スターが存在しただろうか。

ラスト・シーンでの死はもとより、

あとは死刑台へまっしぐらという暗示の作品もあり、

主演作で生き続ける役のほうが思いつかない。

ree

J.P.メルヴィルは語り過ぎず、視覚に訴える可能性を追求した映画作家。

このうえなくフォトジェニックなアラン・ドロンを好まないはずがない。

薄暗く孤独なアパルトマンの一室に金属的な小鳥の声だけが響き、

煙草の煙とともにドロン扮する殺し屋が目覚めるファースト・シーンから、

最初の台詞を聞くまで確か10分以上ある。

その静けさをもたせるのが、ドロンの美しさなのである!


ree

トレンチ・コートをはおり、

ボルサリーノ・ハットの鍔(つば)を両手の指で整えるドロン。

ああ、いつまでも観ていたい!

添え花で注目したいのは、娼婦に扮した当時のアラン・ドロン夫人ナタリーより、

ジャズ・ピアニスト役のブラック・ビューティ、カティ・ロジェ。

今ならハリー・ベリーというところか。

ree

“美男薄命”は無いらしく、ドロンは長命を保っているが、

本作にインスパイアされた1999年ジム・ジャームッシュ作品

『ゴースト・ドッグ』( ”コ“の項で紹介)を、ご本人は観たのだろうか。

J.P.メルヴィル作品は”ウ”の項で『海の沈黙』

”カ”の項で『影の軍隊』を紹介してあるので、どうぞ参照あれ。

コメント


bottom of page