No.392『テオレマ』大橋美加11月4日読了時間: 1分1968年 イタリア映画ピエル・パオロ・パゾリーニ監督 今年87歳で亡くなったテレンス・スタンプ、眼は限りなく碧かったが、髪は何色だったのだろう? ロセッティの絵画を想わせる彫りの深い目元が 妖美を漂わせ、特殊な役柄が多かったためか、作品により髪の色が異なる印象がある。本作ではパゾリーニの嗜好からかダークブラウンに見える髪の色であり、カメラが近づくと瞳の碧さがさらに際立つ。ブルジョワ一家に忽然と現れた一人の青年が、全てを変えてゆく。神話的・宗教的な暗喩を含みながら、瞬きの如くインサートされる土埃に、やがては支配されてゆく一家の主人、そしてメイド。妻、息子、娘は何処へ向かうのだろう。観客の心情を逆撫でするようなブラス・アンサンブルが、観おわったあとも脳裏にこびりついて離れない。
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