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No.391『天国と地獄』


1963年 日本映画

黒澤明監督『天国と地獄』


黒白画面にピンク色の煙がたなびいた瞬間、

観客たちの拍手喝采が響いた!

映画館に活気があった時代、

新宿の大きなスクリーンで観た想い出。


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古い劇場パンフレットを取り出すと、昭和52年とある。

美加は10代だったのか。

おお、立派なパンフが¥200とある。

想い出は尽きない。


それまで名画座で洋画ばかり観ていた少女が、

日本映画の素晴らしさに目覚めた一作だった。

初公開から14年、なぜ大きな映画館で再映されたのかは思い出せない。


金持ちを狙った小児誘拐が、さらに卑劣な方向に転がってゆく。

一幕物を想わせる前半から、『こだま号』内のシーン、

微塵のテンションも落とさず、犯人逮捕劇へとなだれ込む、あっと言う間の二時間半!

こんな映画、二度と造れるはずがない!


初めて観たときは、

山崎努扮する犯人を心底蔑んだが、

年月を経て観なおすと、

罪を憎むあまり犯人への憎しみを増幅させていく、

仲代達矢率いる刑事たちの執念もまた、恐ろしい。


観客を徹底的に動揺させたまま

ズドンと断ち切るラストも圧巻の、

永遠の名作である。


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