1999年 スペイン映画 ペドロ・アルモドヴァル監督
(All About My Mother)
母親にとり、息子は魔物かも知れない。 我が倅は12~13歳頃であったか、 「ママが死んだら骨を食べるよ。 そうしたら、僕のなかで生き続ける」と、確かに言った。 今年26歳となる彼は私を「美加さん」と呼び、かの発言など定かでないらしい。 アルモドヴァル監督は現在の映画界に於ける、 屈指の”ストーリー・テラー”である。 初期はゲイである自身のアイデンティティを ストレートに打ち出す作品が続いたが、 本作でアカデミー外国語映画賞を受賞したことをきっかけに、 その後の発想が拡がったと言える。
雨の夜、憧れの舞台女優の公演を観た母と息子に見舞われる運命。 演劇という絆で繋がってゆく女たち、そしてかつての男との末路。
”イ”の項で紹介した『イヴの総て』へのオマージュをしたためた、
アルモドヴァルの母賛歌。
女優陣の活きいきとした演技が光る。
”病”というキイワードからは、この時世に観なおして欲しい作品かも。
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