No.377『小さな兵隊』大橋美加1 日前読了時間: 1分1960-63年 フランス映画ジャン・リュック・ゴダール監督『小さな兵隊』(le petit soldat)多作家であったゴダールの作品群を、全て網羅することは叶っていないが、20作以上は観ているだろうか。 本作は『勝手にしやがれ』(’60)に続く第二作であり、ゴダールのミューズにして最初の妻であったアンナ・カリーナが大きくフィーチュアされた一作。時代背景はアルジェリア戦争。キイ・ワードは”スパイ”主人公はミシェル・シュボール演じるブリュノであるが、カメラはアンナ・カリーナ扮するヴェロニカに吸い寄せられる。チューリップの蕾のように可憐な仕草を見せたかと思えば、開ききった鬱金香の如く毒気を漂わせもするヴェロニカ。ゴダールがどれほどアンナ・カリーナに恋焦がれていたか、ひしひしと伝わってくる!戦争の愚かさ、酷さが集約された、生々しい拷問シーン。ゴダールはこの後も、人種間の争いの醜さをスクリーンに刻んでゆくことになる。『気狂いピエロ』(’65)でカリーナを知る映画ファンが多いことと思うが、彼女の原点とも呼べる、本作に於ける”灰色のヴェラスケスの瞳”に惑わされて欲しい。
תגובות