大橋美加のシネマフル・デイズ
1984年 フランス映画 リュック・ベッソン監督
(SUBWAY)
これほど純朴な映画だったんだなあと驚く。
劇場公開時に観てから35年以上が経つのだから、
印象が変わるのも無理はないが、
自分が少しホコリを纏ったぶん、純朴に思えるのかな。
アナーキーな青年と、美しき囲い者の女。
地下鉄構内を舞台に設え、
変わり者たちを揃えて、
ありがちなストーリーを映画の魔法で新生させた
26歳のリュック・ベッソン監督は、
若者たちのハートを鷲掴みにした。
ソクラテス、サルトル、シナトラを並べちゃうタイトル・バック。
お日様みたいな髪の毛に眼光鋭いクリストフ・ランベールの唇は
ジャン・ポール・ベルモンドを想起させる。
エキセントリックな役柄で既に演技派女優の地位を確立していた
イザベル・アジャーニの文句ない可愛さも見もの。
そして、ベッソン組ジャン・レノのブレイク前の姿はドラマー!
ラストは『勝手にしやがれ('60)へのオマージュと受け取りたくなるが、
映画に於ける、あらたなストーリー・テリングのかたちを示した作品であることは間違いない。
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