1979年 イタリア・ドイツ合作映画 フェデリコ・フェリーニ監督
(Orchestra Rehearsal)
天才フェリーニの作品群のなかで異彩を放つ、一幕物の世界。 公開当時、確かに劇場で観た記憶があるが、 何処を探してもパンフレットが見つからない。 興味深い解説が掲載されていたはずなのだけれど・・・
映し出されるのは古い礼拝堂であったリハーサル室。 楽譜係の老人はカメラ目線で観客に話しかけてくる。 次々に集まってくる演奏家たち。 テレビ番組のインタヴューを受ける条件の オーケストラ・リハーサルであるとわかってくる。 只でさえギャランティに満足していない演奏家たちの自己主張と憤懣が、 観客には見えないインタヴュアーに向けてぶつけられてゆく。 個性的すぎるオーケストラ団員たちの、 どこまで本気なの?と言いたくなる言い分。 でもでも、それだけで終わらないのがフェリーニ映画! さて、どう相成るか?密度の濃い72分!
![オーケストラリハーサル.jpeg](https://static.wixstatic.com/media/447444_9707928cba3744df861bc6518234ed7d~mv2.jpeg/v1/fill/w_69,h_46,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/447444_9707928cba3744df861bc6518234ed7d~mv2.jpeg)
![オーケストラリハーサル (2).jpeg](https://static.wixstatic.com/media/447444_11f73138b8204af3a4e2c155ee543831~mv2.jpeg/v1/fill/w_75,h_42,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/447444_11f73138b8204af3a4e2c155ee543831~mv2.jpeg)
若いころは風刺漫画も描き、代表作『甘い生活』(’60)や、 初のカラー作品『魂のジュリエッタ』(’65)などでも カトリックへの批判をアーティスティックに示したフェリーニ。 本作では、アコースティックな音楽に対する無理解を フェリーニ流にぶちまけてゆく。
そう、本作の後に亡くなった作曲家 ニーノ・ロータへの想いが詰まった作品とも受け取れる。
たった一度の来日時に、美加が投げかけた音楽についての質問に対し、
ニーノ・ロータへの感謝の意を語ってくれたフェリーニ。
ラストで演奏されるロータのスコアには涙が出る。
本作後、フェリーニはロータ亡きあとの
自作品の溝を埋めてゆくことになるのだ。