1991年 イタリア映画 ガブリエーレ・サルヴァトレス監督
(Mediterraneo)
疫病の真っ只中から逃れて、暫し現実逃避したい! 我が身も含め、この時世に夢みる人は多いことと思う。 美加の眠りの中の夢は、 通常から感触・匂い・味などすべて存在する世界であり、 現実逸脱はなかなか叶わない。リアル過ぎるのよね! 本作を試写室で観た時代を懐かしく想い出す。 サファイア色の海が忘れられない。
第二次世界大戦中の1941年、 エーゲ海に浮かぶ島に任務で上陸した8名のイタリア兵の物語。 何処までも蒼い海とゆったりと流れる時間に身を任せる彼らに 売り込みに来るのは、ヴァンナ・バルバ扮する気のいい娼婦。
30年近く時が流れ、再び本作を観なおした。 「僕らは国に見捨てられた」という兵士の言葉が心に響く。 戦争がなければ、失われずに済んだもの。 戦争により見舞われた別の人生。
ずいぶん昔に、本作のことを拙著『私の偏愛シネマ・ガイド』に記したことがあり、
『鎌倉市川喜多映画記念館』にも所蔵されている。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した、愛すべき一作品である。
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