2003年 アメリカ映画 ティム・マッキャンリーズ監督
(Secondhand Lions)
なぜ、こういう物語にヨワイのだろう。親の愛を感じられずに育ったからか。 祖父、父、兄弟を知らずに育ったからか。 それとも、物語はすべて真実になりうると信じたいからだろうか。
舞台は1960年代初頭のテキサス。 14歳のウォルター少年は、愚かで軽薄な母親に連れられて、 農場で暮らす大伯父兄弟のもとへ預けられる。 ロバート・デュヴァル扮する兄は無口な骨太、 マイケル・ケイン扮する弟は柔らかな語り口の優男、 二人の名優にぴったりの配役。 父親をろくに知らないウォルターは、 ”男の世界”に生きる大伯父たちと暮らすうち、 人生の意味を知るようになっていく。
”SECONDHAND LIONS”という原題がゴキゲンだ。 ウォルターを演じたハーレイ・ジョエル・オスメントが 当時の人気子役であったし、確かに少年の成長物語であるから、 この邦題にしたのだろうが、米英ふたりの名優のキャラクターを暗示し、 ダブル・ミーニング(観てのお楽しみ!)でもある原題を もう少し活かせればよかったのになあと悔しく思う。 今回、観なおしてまた泣いてしまった、愛すべき一作であるだけに。
英国出身のマイケル・ケインはご贔屓俳優のひとり。
若いころは”ア”の項で紹介した
『アルフィー』(’66)に代表されるプレイボーイ役が似合っていたが、年齢を重ね、深い味わいを感じさせる名優となった。
妖しいブルー・アイズは変わらないけれど!
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