1954年 アメリカ映画 アルフレッド・ヒッチコック監督
(Rear Window)
ヒッチコック作品は全作を観ているはずだが、 劇場で観た作品はごく少ない。 本作は1980年代、館名は思い出せないが、 新宿の名画座でジェームズ・スチュワート主演特集と銘打たれ、 『知りすぎていた男』『めまい』と三本立てで観た記憶がある。 観客を”覗き見”の共犯者にすることが得意なヒッチコックの作品群のなかでも、最たるもの! 190センチを超える長身のスチュワートが長い脚を伸ばして座ったまま、じれったい演技に終始する。
主人公が動けないという状況設定が巧い。 映画史上で初めてではないか。名前を持つ登場人物も極めて少なく、 動けない主人公とともにカメラは部屋から出ることはない。 舞台劇ならともかく、場面はひとつきり。ヒッチコックは『ロープ』(’48)でも 実験的な手法をとったが、本作はひと味違う。 骨折で療養中の主人公のもとへ日々やってくるのは、 名脇役セルマ・リッター扮する看護師。 そして、何回観なおしても優雅な美しさが圧倒的な グレース・ケリー扮する恋人。 彼女のファッションを観ているだけでも、十分に楽しめる。 衣裳は数々のオスカーを持つイディス・ヘッド。
長身だが、やさしく柔弱なイメージのスチュワートは
”巻き込まれ型主人公”にぴったりはまり、観客は容易に感情移入できる。
皮肉たっぷりなラスト・シーンもゴキゲン!
グレースは本作の二年後に、モナコ王妃となってしまったんだよなあ・・・
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