1959年 フランス映画 クロード・シャブロル監督
(Les Cousins)
”イ”から始まる手持ちの名画に移行し、4作目。 ”ア”は128作中の50作を紹介したが、”イ”は数えてみたら50作しかない。 もとより、通常は撮りためた過去の名画を観なおす時間はなく、 この時世に初めて数えたが、”ア”と”イ”の差に愕然。
ヌーヴェル・ヴァーグという言葉を知ったのは、 1970年代の自称”名画座少女”時代。 ルイ・マル作品でマイルス・デイヴィスがスコアを手がけた 『死刑台のエレヴェーター』、 ジャン・リュック・ゴダール『勝手にしやがれ』、 フランソワ・トリュフォー『大人は判ってくれない』、 自分の生まれたころに作られた古い映画であるはずなのに、 なんて新鮮なんだろう、なんてかっこいいんだろうと、 心底うちのめされたっけ・・・
ヌーヴェル・ヴァーグについて書かれたエッセイも読みあさったが、 必ず上記の作品群と並び語られていたのが本作。
初めて観た時から、もっとも気になっていたのが、 この物語の舞台となるジャン・クロード・ブリアリ扮する ポールの住むメゾネットのアパルトマン。 親から与えられている部屋にしてはリヴィング・ルームが広く、 ポールがパーティばかり開きたくなるのも頷ける。 田舎からやってくる従弟シャルル(ジェラール・ブラン)に提供する部屋と 擦りガラスのシャワールームとの位置関係、 吹き抜けの部屋に上がる階段などなど、何度みても興味津々。
主演ふたりのキャラクターをうそぶき、 「アリとキリギリスは嘘っぱちだよ」と撥ねつける 皮肉たっぷりなストーリー展開。 押し出しの強いポールを演じたブリアリは、 その後巨匠たちの作品群の脇を固めてゆくこととなる。 そして、二人を囲む生々しい女たち。 脇役のステファーヌ・オードランは当時は老け顔であったが、 本作後にシャブロル夫人にもなり、 中年を過ぎてからも味のある役どころを演じ続けた。 シャブロルもまた、晩年の意欲作は多く、観なおしていきたい。
Comentários