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No.54『いとこ同士』

更新日:2023年5月10日

1959年 フランス映画 クロード・シャブロル監督 (Les Cousins)

”イ”から始まる手持ちの名画に移行し、4作目。 ”ア”は128作中の50作を紹介したが、”イ”は数えてみたら50作しかない。 もとより、通常は撮りためた過去の名画を観なおす時間はなく、 この時世に初めて数えたが、”ア”と”イ”の差に愕然。

ヌーヴェル・ヴァーグという言葉を知ったのは、 1970年代の自称”名画座少女”時代。 ルイ・マル作品でマイルス・デイヴィスがスコアを手がけた 『死刑台のエレヴェーター』、 ジャン・リュック・ゴダール『勝手にしやがれ』、 フランソワ・トリュフォー『大人は判ってくれない』、 自分の生まれたころに作られた古い映画であるはずなのに、 なんて新鮮なんだろう、なんてかっこいいんだろうと、 心底うちのめされたっけ・・・

 ヌーヴェル・ヴァーグについて書かれたエッセイも読みあさったが、 必ず上記の作品群と並び語られていたのが本作。

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初めて観た時から、もっとも気になっていたのが、 この物語の舞台となるジャン・クロード・ブリアリ扮する ポールの住むメゾネットのアパルトマン。 親から与えられている部屋にしてはリヴィング・ルームが広く、 ポールがパーティばかり開きたくなるのも頷ける。 田舎からやってくる従弟シャルル(ジェラール・ブラン)に提供する部屋と 擦りガラスのシャワールームとの位置関係、 吹き抜けの部屋に上がる階段などなど、何度みても興味津々。

主演ふたりのキャラクターをうそぶき、 「アリとキリギリスは嘘っぱちだよ」と撥ねつける 皮肉たっぷりなストーリー展開。 押し出しの強いポールを演じたブリアリは、 その後巨匠たちの作品群の脇を固めてゆくこととなる。 そして、二人を囲む生々しい女たち。 脇役のステファーヌ・オードランは当時は老け顔であったが、 本作後にシャブロル夫人にもなり、 中年を過ぎてからも味のある役どころを演じ続けた。 シャブロルもまた、晩年の意欲作は多く、観なおしていきたい。

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