1932年 アメリカ映画 ルイス・マイルストン監督
(Rain)
”St. Louis Blues”が使われたもっとも古い映画は? この目で観た作品では、本作『雨』と答えるしかない。 ”ア”から始まる手持ちの名作、そろそろ”イ”に移ろうかと思いながら、 またもや本作を取り出してしまった! 雨が降り続く、パゴパゴ島。コレラ患者発生による足止めで、 島にひとつきりの宿に滞在せざるを得ない人々。 お堅い宣教師夫妻、すこし融通の利くドクター夫妻のグループが 宿に着くやいなや、”St.Louis Blues”が鳴り響く! ブレスレットをジャラジャラ付けた両腕、網タイツにパンプス、 そして、厚化粧のヒロイン・サディ(セイディ)のクロース・アップ! アクの強い大きな瞳をぎらぎらさせた、 ジョーン・クロフォードの登場である!
動きの取れない状況設定、相反する女と男、 これでもかと降り続く雨、雨、雨・・・ 善と悪とは、どちらが勝つのか。そもそも善悪とは誰が決めるのか。 悪女と呼ばれるサディは加害者か被害者か・・・
生前にお世話になった淀川長治先生いわく 「ジョーンはサディ役を演じるようなタイプではなかったのね、 もっとモダンなチャールストンを踊るような役が合っていたのね、 それが大勝負に出て、その後はジョーンの似顔絵を描く人は、 サディのいで立ちで描くことになったのね」とのこと。 何十年ぶりに観たが、いやはや参りましたの大熱演!
本作のなかであたかも 悦楽の象徴のように何度も流れる”St. Louis Blues”は効果絶大。 そういえば、ジョーンが中年になり酒場のマダムを演じた 『大砂塵』(’54)のテーマソングは、 ペギー・リーの大ヒット”Johnny Guitar” こちらも久々に観なおしたくなった。
Comments