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執筆者の写真大橋美加

No.45『雨』

更新日:2023年5月12日

1932年 アメリカ映画 ルイス・マイルストン監督 (Rain)

”St. Louis Blues”が使われたもっとも古い映画は? この目で観た作品では、本作『雨』と答えるしかない。 ”ア”から始まる手持ちの名作、そろそろ”イ”に移ろうかと思いながら、 またもや本作を取り出してしまった! 雨が降り続く、パゴパゴ島。コレラ患者発生による足止めで、 島にひとつきりの宿に滞在せざるを得ない人々。 お堅い宣教師夫妻、すこし融通の利くドクター夫妻のグループが 宿に着くやいなや、”St.Louis Blues”が鳴り響く! ブレスレットをジャラジャラ付けた両腕、網タイツにパンプス、 そして、厚化粧のヒロイン・サディ(セイディ)のクロース・アップ! アクの強い大きな瞳をぎらぎらさせた、 ジョーン・クロフォードの登場である!

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動きの取れない状況設定、相反する女と男、 これでもかと降り続く雨、雨、雨・・・ 善と悪とは、どちらが勝つのか。そもそも善悪とは誰が決めるのか。 悪女と呼ばれるサディは加害者か被害者か・・・

生前にお世話になった淀川長治先生いわく 「ジョーンはサディ役を演じるようなタイプではなかったのね、 もっとモダンなチャールストンを踊るような役が合っていたのね、 それが大勝負に出て、その後はジョーンの似顔絵を描く人は、 サディのいで立ちで描くことになったのね」とのこと。 何十年ぶりに観たが、いやはや参りましたの大熱演!

本作のなかであたかも 悦楽の象徴のように何度も流れる”St. Louis Blues”は効果絶大。 そういえば、ジョーンが中年になり酒場のマダムを演じた 『大砂塵』(’54)のテーマソングは、 ペギー・リーの大ヒット”Johnny Guitar” こちらも久々に観なおしたくなった。

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