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No.365『ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー』

執筆者の写真: 大橋美加大橋美加

1985年 イギリス映画

マイク・ニューウェル監督

『ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー』

(Dance with a stranger)


“Ten cents a dance“というジャズソングがある。

名コンビ、ロジャース&ハートのナンバーであるが、

誰もが歌うというわけではない。


ボールルームで1曲10セントで客のダンスの相手をする、

しがない女の胸の内を吐露した内容の歌曲。

いつか幸せにしてくれる男が現れるかもと、

待つ日々の虚しさ。





英国で絞首刑となった最後の女性ルース・エリスのストーリーである

『ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー』を

約40年ぶりに観かえし、この歌が脳裏に浮かんだ。

プラチナ・ブロンドに厚化粧、酒と煙草にまみれて

男たちの相手をする主人公に扮するのは、演技派ミランダ・リチャードソン。


知的な役から汚れ役までこなせるミランダと、

当時英国美男俳優代表であったルパート・エヴェレット、

渋い名優イアン・ホルム。

三人三様の演技が見ものである。


身分違いの恋愛を弄び、持て余し、持ち崩す女の悲哀。

実話を下敷きにしながらスタイリッシュな画づくりに徹した点は大いに買う。


霧の中でヒロインが着けていた、不釣り合いなロザリオが心に残る。

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