No.361『太陽を盗んだ男』大橋美加1月26日1979年 日本映画 長谷川和彦監督『太陽を盗んだ男』新宿の映画館の大きなスクリーンで観た記憶が鮮やかに蘇る。孤独な29歳の中学校理科教師が、プルトニウムを盗み出して原子爆弾を作る物語。王子様ヘアの沢田研二が「カッコよくない」役を演じる意外さ。菅原文太はまるでのちのロボコップの如く、ギクシャクと血まなこで食い下がる。老バスジャック犯人に黒澤や成瀬作品の脇を占めていた怪優・伊藤雄之助をもってくるオフビート感。監督が主人公のキャラクターを作り込むためインタヴューしたという、様々な職種の人々のなかで、ヘリコプター操縦士の言葉「毎日毎日、町の俯瞰を見ていると、東京が自分のもののように思えてくる」というコメントが印象的。錯覚が拡張してゆく恐怖。解決しない、収まらない、安堵の余地のない、そんな映画が、今は無い。
1979年 日本映画 長谷川和彦監督『太陽を盗んだ男』新宿の映画館の大きなスクリーンで観た記憶が鮮やかに蘇る。孤独な29歳の中学校理科教師が、プルトニウムを盗み出して原子爆弾を作る物語。王子様ヘアの沢田研二が「カッコよくない」役を演じる意外さ。菅原文太はまるでのちのロボコップの如く、ギクシャクと血まなこで食い下がる。老バスジャック犯人に黒澤や成瀬作品の脇を占めていた怪優・伊藤雄之助をもってくるオフビート感。監督が主人公のキャラクターを作り込むためインタヴューしたという、様々な職種の人々のなかで、ヘリコプター操縦士の言葉「毎日毎日、町の俯瞰を見ていると、東京が自分のもののように思えてくる」というコメントが印象的。錯覚が拡張してゆく恐怖。解決しない、収まらない、安堵の余地のない、そんな映画が、今は無い。
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