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No.360『探偵 スルース』

執筆者の写真: 大橋美加大橋美加
1972年 英・米合作映画 ジョゼフ・L・マンキウィッツ監督

『探偵 スルース』(SLEUTH)


親子ほども年齢の違う、男同士の対決!

とは言っても決闘や殴り合いではない。


人里離れた森の奥であろう、広い邸に長身の色男がやってくる。

ブロンドにブルー・アイズの美容師に扮するのは、マイケル・ケイン。


迎えるはずの著名な老作家は、庭園の迷路の真ん中で口述中。

カタい英国発音のローレンス・オリヴィエである。

迷路を彷徨うケインは、なかなかオリヴィエに会えない。





迷路に置かれた石造りの酒瓶ケース。


機械仕掛けの人形たちが生きているかのように蠢く居間。


変装用具が入った長持が置いてある地下室。


夢か現実か錯覚に陥るドールハウスなどなど、

娘時代に初めて本作を観たときは、

すっかり物語の世界に捕りこまれてしまったっけ。


戯曲の映画化であるから、さながら台詞の洪水の如し。

シャイクスピアをこなすオリヴィエはともかく、ケインの健闘ぶりに拍手。


寝取られ男と間男の対決。さて、如何に・・・

人形劇の設えに、どんな愛憎も

所詮、神に操られているに過ぎないとも思えてくる。


リメイク版(2007)では、オリヴィエの役をケインが演じている。

観くらべるのも映画ファンの愉しみかと。

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