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No.357『タクシー・ドライバー』

執筆者の写真: 大橋美加大橋美加
1976年  アメリカ映画 マーティン・スコセッシ監督

『タクシー・ドライバー』(TAXI DRIVER)


トラヴィスは

“Sleepless in NYC“


トラヴィスは

疲れていても眠れず、

深夜にポルノ映画館へ通う。


トラヴィスは

夜の街に蠢く麻薬中毒者、売人、娼婦、ポン引き。

それらを一掃する雨はいつ降るのだろうと呟く。


カツラとメイクを纏い、

ジーン・クルーパやチック・ウェッブの物真似をする ストリート・ドラマーの表情が忘れられない。

新宿の名画座で観た、我が青春の一作である。



愉しみを感じられない、

憤懣と焦燥感の日々。

きっかけさえ見つかればいい、トラヴィス。


ついに切って落とされる、血まみれ劇場の幕。

消滅し、蘇生するトラヴィス。


漸く“普通“の微笑みを

好みの女に投げかけることが出来るようになったトラヴィス。

バックミラーの中の女が、たとえ幻であったとしても。


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