1988年 アメリカ映画 フィリップ・カウフマン監督
『存在の耐えられない軽さ』
(The unbearable lightness of being)
公開前に試写室で観たきりの本作、
30年以上の年月を経て観なおしたが、感慨に変わりはない。
オスカー(主演男優賞)を三回獲っている
唯一の俳優であるダニエル・デイ=ルイスが
主演であるのにも拘わらず、
敢えて女優二人の映画と呼びたい。
物語は1968年のプラハから始まる。
激動の年であることは示されるが、
基本的にラヴ・ストーリーである。
プレイボーイの脳外科医にデイ=ルイス。
自由に恋愛を楽しむアーティストにレナ・オリン。
純潔も真心も唯一人の男に捧げ尽くす娘にジュリエット・ビノシュ。
シャープなオリンとソフトなビノシュが個性を活かしきり大熱演、
如何にデイ=ルイスといえど、控えめな演技に徹している。
二人の女の行く末は、未来に於ける”女性”の
存在価値を問うているようでもあり。
出番は少ないが、ベルイマンやタルコフスキーに好まれたエルランド・ヨセフソン、
現在も活躍中のステラン・スカルスガルドなど、欧州の演技派が印象を残す。
オリンとビノシュ、二人の女が互いにヌードを撮りあうシーンが、
デイ=ルイスとの濡れ場よりエロティックに見えるのは何故だろう。
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