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No.349『戦争と平和』

1956年 アメリカ・イタリア合作映画 キング・ヴィダー監督

『戦争と平和』(War and Peace)


オードリー・ヘプバーンにはモノクロームが似合うと思っていた。

本作を観るまでは。


彼女にとり初カラー作品となる本作、

ボンタルチュク版とはどうしても比較されるであろうが、

オードリー演じるナターシャは、永遠の輝きを放っている。




数々のカラフルな帽子や衣裳を軽やかに着こなすが、

アンドレイと初めてダンスをするときの、

手作り感あふれる純白のドレス!

カラー作品のなかの白いドレスが

これほどまぶしかったことはない。


大スターのヘンリー・フォンダ、

そして当時の夫であったメル・ファーラーを凌ぐオードリーの輝き!

ヴィダー版は親しみやすさと華やかさを兼ね備え、映画史を飾る。

フェリーニ作品『甘い生活』(’60)で堂々たる美神ぶりを披露する以前の、

アニタ・エクバーグの艶姿を観られるのも嬉しい。


戦争は世界を変え、唯ひとりの人生をも変えてしまう。

すべてを背負う"象徴"としてのナターシャを演じきったオードリーを讃えたい。
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