No.344『戦場のメリークリスマス』大橋美加2024年8月6日読了時間: 1分1983年 日・英・新・豪 合作映画大島渚 監督『戦場のメリークリスマス』 (Merry Christmas,Mr.Lawrence) 封切りに大きなスクリーンで観て以来、ずっと心に引っかかっている映画である。 悶々とするヨノイの矢鱈に濃いアイメイク。 素頓狂な物言いのハラ軍曹。 朱赤のハイビスカスを むしゃむしゃ食べてしまう セリアズ。 40年余を経て観なおし、往年より心うごかされた 自分に驚く。 戦争という狂気から生まれる 稀有な瞬間、名づけられない情感を、 大島は見せつける。 大島作品は15〜16作ほどは 観ただろうか。一見、突飛に思える ストーリー・テリングは、むしろ正当な事柄へのこだわりか。 デヴィッド・ボウイ、坂本龍一を始めとして、ジョニー大倉、大島組の 戸浦六宏らも鬼籍に入り、 メイン・キャストではたけしさん (共演経験あるゆえ敬称とさせて貰う)だけがご存命かと思いきや、原題のローレンスを演じた 年長のトム・コンティが存命と知る。"女性"の存在はローレンスが語るエピソードに 仄めかされるのみの本作だが、 決して”LGBT”には括れない一作であり、映画史上、特異な位置を 占め続ける反戦映画と信じたい。
Comments