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No.322『スケアクロウ』

1973年 アメリカ映画

ジェリー・シャッツバーグ監督

(SCARECROW)

こんなに風の音が鳴っていたのか。

映画史上、最も愛すべき凸凹コンビが往き会う、

ファースト・シーンである。

寒がりの大男マックスにジーン・ハックマン。

剽軽な小男ライオンにアル・パチーノ。





孤独を欲しいままにする男と、

孤独ではないと信じたい男。

人生に怒る男と、

人生に笑いかける男。


”RORD MOVIE”なんて洒落るに似つかわしくない、

男ふたりの旅路。


友とは何だろう。

人と人が出会い、いつから“友”になるのだろう。

大人が「友だちになろうよ」なんて口にするわけはない。


そいつのために怒り、

そいつのために泣く。

ライオンを傷つけたムショ仲間を

マックスが殴り続けるシーンは、

何度観ても涙が出る。


なんの確証も、しがらみも、約束さえない関係こそが

友情なのだと信じてしまう、

アメリカン・ニューシネマを代表する逸品。


名カメラマン、ヴィルモス・スィグモンドの手になる、

アンドリュー・ワイエスを想わせる

風景描写も忘れ難い。

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