No.312『七人の侍』大橋美加2024年1月7日読了時間: 1分1954年 日本映画 黒澤明監督洋画育ちの身である。子どものころに『荒野の七人』のほうを先に観ていた。 大人になって原型『七人の侍』を観たときは愕然としたものだ。凄すぎる。悲惨な暮らしを強いられる百性たちが、泣き寝入りをやめて野武士の略奪に抗おうと、 食い詰めた侍を雇う。床に散らばる真珠のように光る米粒を拾う、汚れた指。虎の形相でありながら猿回しの猿のように 尻出し鎧で飛び跳ねる三船敏郎。やんわりと品の良いムードメイカーの千秋実。ヤマネコの如く森を駆け抜ける、寡黙な居合切り名人に宮口精二。村娘に惚れられ契りを結ぶが苦々しい失恋となる前髪者に木村功。そして、大上段に振り被らずに正義を遂行する志村喬。加東大介、稲葉義男は役不足ながら、不可欠な位置を占める。シーンを形成する多元的な演出の見事なこと!207分が土砂降りとともに往き過ぎる、不滅の銘作。戦う者でなく、生み出す者が勝利者であるという、ラストの台詞を信じたい。
Comments