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No.309『質屋』

1964年 アメリカ映画 シドニー・ルメット監督

(The pawnbroker)

ブラスの音が怒濤の如く押し寄せる!

救いのない人生をも生き抜いていかねばならない宿命を

後押しするかのように…

ボリス・カウフマンのカメラワーク、

クインシー・ジョーンズのサウンドが一体となり、

すべてが贖われるような錯覚を覚える。

これぞ、映画!

凄惨な過去を持つ質屋に扮するロッド・スタイガー、


まさに鬼気迫る力演を見せる。

オスカーを獲れなかったことは 意外のひとことに尽きる。


主人公が営む質屋に張り巡らされた金網。

さしたる防犯効果がありそうには思えないのだが、

主人公の顔面には不気味な 網目模様のシルエットを映し出す。


閉ざされた心にさらなる影をもたらす金網は、

この店を訪れる人々の顔にも、拭えぬ闇を落とす。


威嚇する者、牽制する者、 おもねる者、手を差しのべる者。

はたして主人公の引きちぎられた心は、

ひとしずくの癒しを得ることが出来るのだろうか…


あたかもサブリミナル効果の如き
フラッシュ・バックが衝撃的。

まばたきする間も容赦せず、

ホロコーストの悲劇を見つめさせる
ルメットの演出を、忘れてはならない!

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