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No.277『ザ・ロード』

2009年 アメリカ映画 ジョン・ヒルコート監督

(The Road)


ピュリッツァー賞に輝くコーマック・マッカーシー原作の映画化であり、

極めて異色の近未来SFである。


原因さえ示されないまま、映し出される崩壊した世界。

重くのしかかる灰色の空。生き物は見当たらず、

食物の尽きている世界を、南に向かって旅する父と幼い息子。

扮するのはヴィゴ・モーテンセンと、天才子役コディ・スミット・マクフィー。

CG無し、オール・ロケのSFという果敢にして稀有な逸品。


「怖い夢をみた」という息子に、「悪夢を見るうちは生きられる」と口にする父親。

その日を生き繋ぐということを見せつけながら、

人間とは何かを問いかける、限りなく深遠なストーリー。


ご贔屓モーテンセンの心身ともに投げ出した力演と、

物語のなかを見事に生き抜いた幼いコディ。

今回また、同じ場面で涙が止まらなかった。


コロナ禍2020年にスタートし3年を越えた”大橋美加のシネマフル・デイズ“。

手持ちDVDの”ア“から観はじめ276作を数えるうち、

2000年以降の作品は25作のみ!

殊に本作は近年に於ける貴重な名作と言える。


年月が経ち、ジェーン・カンピオン作品『パワー・オヴ・ザ・ドッグ』(2021)で

すっかり青年となったコディと再会が叶った。

映画に感謝!

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