2009年 アメリカ映画 ジョン・ヒルコート監督
(The Road)
ピュリッツァー賞に輝くコーマック・マッカーシー原作の映画化であり、
極めて異色の近未来SFである。
原因さえ示されないまま、映し出される崩壊した世界。
重くのしかかる灰色の空。生き物は見当たらず、
食物の尽きている世界を、南に向かって旅する父と幼い息子。
扮するのはヴィゴ・モーテンセンと、天才子役コディ・スミット・マクフィー。
CG無し、オール・ロケのSFという果敢にして稀有な逸品。
「怖い夢をみた」という息子に、「悪夢を見るうちは生きられる」と口にする父親。
その日を生き繋ぐということを見せつけながら、
人間とは何かを問いかける、限りなく深遠なストーリー。
ご贔屓モーテンセンの心身ともに投げ出した力演と、
物語のなかを見事に生き抜いた幼いコディ。
今回また、同じ場面で涙が止まらなかった。
コロナ禍2020年にスタートし3年を越えた”大橋美加のシネマフル・デイズ“。
手持ちDVDの”ア“から観はじめ276作を数えるうち、
2000年以降の作品は25作のみ!
殊に本作は近年に於ける貴重な名作と言える。
年月が経ち、ジェーン・カンピオン作品『パワー・オヴ・ザ・ドッグ』(2021)で
すっかり青年となったコディと再会が叶った。
映画に感謝!
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