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No.271『三十九夜』

1935年 イギリス映画 アルフレッド・ヒッチコック監督

(The 39 steps)

ヒッチコック作品は30作以上を観ているはずだが、

一度しか観ていない作品もある。

殊にイギリス時代の黒白作品は、

後期のカラー作品に較べて記憶を辿りにくい気がする。

そんなわけで、”サ“から始まる手持ちDVDの21作目は

久々に『三十九夜』を選んだ次第。

キイワードは“Memory Man”

どんなことでも記憶できるという男であり、

エンタテイナーとしてステージに立っている。

観客の自由な質問に、何でも答えられる男なのである。

まずはこのキャラクターを観客に見せつける手法が手練れ。


カナダからイギリスにやってきた外交官が、

謎の女に誘われ事件に巻き込まれる。

ヒッチの得意分野である”巻き込まれ型主人公”の元祖を演じるのは、

色男ロバート・ドーナット。

予想外の展開に於ける演出はこの時代からピカイチ!

「小指がないのは、どっちの手かね?」の台詞、ああ、ぞ〜っとする!

ヒッチ初期作品を観るにつけ、

如何に現代の映画が無駄に長いかを痛感する。

凝縮の88分間、これでいいのだ!

我が青春時代のデイヴィッド・リーン作品『インドへの道』(’84)に於いて

77才にしてオスカー(助演女優賞)を受けた

ペギー・アシュクロフトの初々しい姿も観られる一作。

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