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No.237『午後の曳航』

更新日:2023年4月12日

1976年 日・英合作映画 ルイス・ジョン・カリーノ監督 (The Sailor who fell from Grace with the Sea)

淡い午後の光、きらめく海と船、淡緑色の草地で蠢く 赤いブレザーの少年たちの遠景。 戦慄のラスト・シーンである。

なぜ、映画の中で悲恋に身をやつすシングル・マザーは、 一人息子を抱えているのだろう。 ヒロインが恋に挑むためのお膳立てとして、子どもがいないのでは安易であるし、 もし娘が一人の場合は女同士のコミューンが成立し、孤独に心を閉ざす女のイメージが壊される。 かくして、嘗て愛した男の面影を宿す息子を一人持った母親が必要になるのだろう。

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言葉を失うほど美しい夕焼けの海が徐々に暗くなり、 海を臨む邸から主人公の少年ジョナサンが抜け出すシーンから映画は始まる。

秘密クラブを作り、メンバーを番号で呼び、セックスの体位写真を品評したり、 小動物を虐待したりする少年たち。 未亡人であるジョナサンの母が逞しい船乗りと知り合うことで、 少年たちの行為はエスカレートしてゆく。

原作を手がけた三島由紀夫は、お涙頂戴的な映画を 「芸術で最も易しいこと」と評したと聞く。 全く同意見だが、「泣けない残酷さ」はどう受け止めれば良いのだろうか。

未亡人にサラ・マイルズ、船乗りにクリス・クリストファーソン、 そして、13歳のジョナサンを演じたジョナサン・カーンの 長い睫毛に縁どられた妖しい瞳!

名手ダグラス・スローカムが映し出す、ロケ地ダートマスの圧倒的な景観も忘れ難い。

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