17歳でフレンチ・ローストを教えられ、コーヒーにハマった。 年上の友達もたくさん出来た。 デミタスカップでコーヒーを飲むことがカッコイイことであり、 頭も冴える気がした。 ジャームッシュ作品と出会う、10年ほど前のこと。
本作はジャームッシュが長間あたためてきた構想をまとめ上げた、 コンセプト短編集。 モノクロームの画面から、煮詰めたコーヒーの匂いが漂ってくる。 そう、我が青春の彼方に香る、芳しいコーヒーじゃないのよね! 見当違いの出逢い、堅苦しい会話、突拍子もない出来事などなど、 只々、苦みでやり過ごすためのコーヒーが、 次から次へと注がれてゆく可笑しさ。
煙草は十八歳で初体験、二十歳で止めた。 今でも夢のなかではたまに吸うことがある。 相手から暫し目をそらしたいとき便利なツールだが、
もう現実世界で吸うことはないだろう。
本作の数多い登場人物たちのなか、
美味しそうに煙草を吸うのは、 謎の美女ひとりだけ。 あとは居ずまいの悪さを誤魔化すために 吹かしているだけに見える。
ミュージシャンとの付き合いの多いことでも知られる
ジャームッシュならではのスペシャルなキャスティングが嬉しい。
全11話の”Short Stories to Relax” さて、貴方のお気に入りは?
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