2007年 米・独・伊・仏・ルーマニア合作映画
フランシス・フォード・コッポラ監督
(Youth Without Youth)
幻想譚という謳い文句を見るにつけ心惹かれるが、 映像化となると苦労の種に違いない。 フランシス・F・コッポラが8年間映画製作をせず、 66歳にして欲求不満に苛まれていたときに出会った このうえなく幻想的な物語である本作の原作は、 世界的な宗教学者ミルチャ・エリアーデによるもの。
人間にとって永遠の願望とも呼ぶべき出来事が、或る男に降りかかる。 悲劇のあとの余りに唐突な変化に、男の運命は動かされてゆく。 主人公ドミニクに扮するのは、演技派ティム・ロス。 小柄な体躯に面長、くぼんだ目元、 エキセントリックな役柄が似合うこの名優は、 あっという間に観客を”幻想譚”に引きずり込む。 人は何処から来て、何処へ向かうのか。 私たちの人生の真の意味とは?
CGを押し出しすぎるとSFの印象が濃くなり、
力み過ぎるとホラーまがいにもなりがちな題材を、
抑制を効かせた演出で仕上げたコッポラ。
『ゴッド・ファーザー』(’72)の栄光を
持ち出すまでもない立場でありながら、
資金繰りせずに自作を自費で作りあげる
インディーズ精神に立ち還ったことに拍手!
美加がコッポラを見直した、渾身の一作である。
Comentários