1962年 フランス・イタリア合作映画 アニエス・ヴァルダ監督
(Cléo de 5 à 7)
アニエス・ヴァルダは、我が人生に多大な影響を与えてくれた 偉大なる映画作家のひとり。 80歳を過ぎてからもチャレンジ精神に満ちた作品を発表しつづけ、 2019年に91歳の誕生日を迎えるまえに、惜しまれつつ他界した。
ファースト・シーンはカラー! クロスの掛かったテーブルの俯瞰に、 タロット・カードが並べられていく。 女占い師と、若いヒロインである クレオの手がカードのうえを交差し、 パッとカメラが切り替わると、 モノクロームで痩せぎすの老女の顔が映し出され、ドキッ! 観客は魔女の顔を見てしまったような気分になる。 アニエス、お見事!
歌手であるらしいクレオは検査結果に怯えている。 2時間後に、がんを宣告されるかも知れないのだ。 午後5時から、分刻みのドラマが進んでゆく・・・
気味の悪い大道芸人たち、カフェの人々など、 アニエス作品を貫く実験的な要素も散りばめられ、 いつしかヒロインとともに、パリの街を彷徨うことになる。
音楽担当の若きミシェル・ルグランが出演も兼ね、
インプロヴィゼイションとおぼしき
演奏や歌を聴かせてくれるのは、
音楽ファン必見のエピソードである!
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