1979年 日本映画 新藤兼人監督
1977年に実際に起きた開成高校生殺人事件を基に、 新藤兼人監督が脚色・製作も務めた問題作。 主人公の少年がウイスキー瓶をがぶがぶ煽り、 こちらに投げつける。 恐れおののく両親を映し出すファースト・ショット!
一人息子を東大に入学させることだけに人生を賭ける両親。 父に西村晃、母には監督夫人でもあった乙羽信子。 二人とも渾身の熱演だが、 殊に乙羽は50代半ばでヌードや濡れ場も厭わず、女優魂を見せつける。 少年・狩場勉に扮するのは狩場勉。同じ名前にがんじがらめ状態、 さぞきつい撮影であったことだろう。 本作の数年後には役者を辞めたと聞く。
新藤作品は画づくりや編集が独特であり、家庭内暴力という極めて
シリアスなストーリーの軸を、自らぶれさせる。
真の恐怖や悲劇に直面したときに、人は突飛な振る舞いをしてしまうのだろうが、
わざわざ、まざまざと見せられると、身震いしていいのか、
ニヤついていいのか・・・。
ストーリーとしても、
実際の事件に劇的な要素を大幅に組み込み、やり場のない状況に追い打ちをかける。
何度観ても拭いきれない後味を残し、夢にもあらわれる怖い一作である。
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