1941年 アメリカ映画 フランク・キャプラ監督
(Meet John Doe)
ゲイリー・クーパーのファンになったのは、 ”オ”の項で紹介した『オペラハット』(’36)だったかな。 その後に観たのが本作『群衆』であり、どちらもキャプラ作品であるが、 こちらはシリアス度合が高いだけにハラハラしたもの。 クーパーも40歳となり少し疲れて見えるしね。
長身・ハンサムながら極めて純朴な男と、 才覚としたたかさのある女が出会う。 当時、強気の美人を演じて抜群の魅力を発揮したのが、 バーバラ・スタンウィック。 苦労人らしい、きりりとした美貌である。
”JOHN DOE”は身元不明の遺体などに付けられたりする名。 いうなれば”名無しの権兵衛”。 本作では、祭りあげられてゆく主人公に付けられる呼び名。
すこしだけ草臥れたクーパーが追い詰められていく姿は、 西部劇より身近なシテュエイションであるだけに痛々しく、 当時の女性ファンが手に汗にぎったであろう 効果的な演出だよなあ・・・
そうそう、キャプラらしいエピソードは、クーパーがハモニカ、 相棒に扮する名脇役ウォルター・ブレナンがオカリナで 合奏するユーモラスなシーン。
コーエン兄弟作品『未来は今』(’94)
スティーヴン・フリアーズ監督『靴をなくした天使』(’92)などなど、
リアルタイムで観た作品にも本作からの影響は見え隠れしている。
キャプラよ、永遠なれ!
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