1965年 イタリア映画 ルキーノ・ヴィスコンティ監督 (Vaghe Stelle Dell’orsa)
クラウディア・カルディナーレがソファに身を投げ、 しなやかな脚を無造作に動かしてパンプスを宙に放り出す。 なんてお行儀わるくて、なんてカッコイイんだろう!
ヴィスコンティ作品を10代で知ることが出来たのは 我が人生の宝であると、 ”イ”の項で遺作『イノセント』(76’)を紹介したときに書いた。 本来”作り物”であるはずの映画の中の、ほんの小さな道具まで”本物”しか 許さなかったというヴィスコンティ。 さすが、没落貴族(笑)
本作を観たのは1982年、神保町の『岩波ホール』であり、 採録シナリオ付のパンフレットも持っている。 1970年代後半に”名画座少女”であった美加だが、 1982年当時はすこし大人になり、当館にも通い詰めていたっけ。
クラウディア扮する姉とジャン・ソレル扮する弟の 禁断の香りを漂わせる関係が、古い屋敷を舞台に暗示されてゆく。 思わせぶりなショットが多く、社会派の色濃い ヴィスコンティの初期作品を観てきたファンは戸惑うこと然り。
ジュリアン・デュヴィヴィエ作品『舞踏会の手帖』(’37)の
ヒロイン役で知られるマリー・ベルが、姉弟の母役で
強烈な印象を残しているのも見もの。
こういうインサートがヴィスコンティは巧いんだよなあ・・・
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