1953年 アメリカ映画 スタンリー・キューブリック監督 (Fear and Desire)
スタンリー・キューブリック作品は”名画座少女”時代に、 『ロリータ』(’62)『博士の異常な愛情』(’64) 『2001年宇宙の旅』(’68)『時計じかけのオレンジ』(’71) 『バリー・リンドン』(’75)などなどを観て、熱狂した。 ハリウッド・デビュー作として、『現金に体を張れ』(’56)が 再上映されたのはいつだったか?確かに劇場で観た記憶があるが、 1980年代だったのだろうか。 これがキューブリックの原点かと膝を叩いたもの。ところが・・・
本作『恐怖と欲望』は、映画チャンネルで録画し、 今回改めて観なおした。 はたして名画座で上映されたのかどうかはわからないが、 キューブリックの長編デビュー作として残っている一作。 日本語タイトルはカタいが、 原題は”RHYME”が踏まれ、発音しやすい。 ジャズソングの歌詞に出てきそうな調子。 全編にナレーションが付けられ、 「この物語は普遍的な寓話である」と ことわられているため、何となく気軽に観てゆくが・・・
とんでもなく裏切られる。 戦争の愚かさ、酷さを、残酷なお伽話のように 見せてゆくキューブリック。 何といっても、のちに映画作家として活躍する ポール・マザースキーが、タイトルの”恐怖と欲望”に翻弄される 若い兵士に扮しているのが見どころ。 ”少女”がキイとなるあたり、晩年の『フルメタル・ジャケット』(’87)とも 響き合うじゃないか!
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