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No.172『キッチン』

更新日:2023年4月20日

1989年 日本映画 森田芳光監督

夢をたくさんみる。夢のなかでは何かが違う。 知っているひとと同じ顔、同じ声なのに、 すこしずれて、すこしハズレていたりする。

森田芳光作品は夢の映画。 日常を描きながら、世俗をすこし、逸脱している。 そこが好きだった。 過去形にしなければならないのは辛い。 あっという間に天国へ行ってしまった森田監督。

ジャズ・ファンであり、出逢いは新宿にあったジャズ・スポット『J』 コロナ禍で閉店し、こちらも伝説となってしまった。

吉本ばななの原作を映画化した本作、ワカメちゃんヘアに昭和顔、 すらりとした長身がアンバランスなヒロインみかげに扮するのは、 当時10代の川原亜矢子。 共演男性たちより背が高く、ノッポの妖精みたい。

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お伽話のお城を想起させるマンション、目にも美味しい料理の数々、 森田映画は憂さを吹き飛ばしてくれる。 そうそう、LGBTQストーリーのハシリとも言えるのよね・・・

「他人のラヴ・シーンを観ても       面白くも何ともない」美加にとり、 本作は心地よい。 友情から愛情へ、みかげの作るお粥みたいに

さらさらっとトランスフォームしてゆく。 VIRGINで赤ちゃん産んじゃいそうなヒロインのキャラが愛おしい。

この時世にこそ、映画を作って欲しかった! 美加がNHK FMで番組を持っていた時代、ゲスト出演もしてくださり、 なんと「芝居をする気はないの?」と訊かれた。 咄嗟に「ありません」と答えてしまい、 ああ、後悔先に立たず・・・ せめて監督が遺してくれた作品を、現代の若者たちにも伝えていくぞ~!

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