1989年 日本映画 森田芳光監督
夢をたくさんみる。夢のなかでは何かが違う。 知っているひとと同じ顔、同じ声なのに、 すこしずれて、すこしハズレていたりする。
森田芳光作品は夢の映画。 日常を描きながら、世俗をすこし、逸脱している。 そこが好きだった。 過去形にしなければならないのは辛い。 あっという間に天国へ行ってしまった森田監督。
ジャズ・ファンであり、出逢いは新宿にあったジャズ・スポット『J』 コロナ禍で閉店し、こちらも伝説となってしまった。
吉本ばななの原作を映画化した本作、ワカメちゃんヘアに昭和顔、 すらりとした長身がアンバランスなヒロインみかげに扮するのは、 当時10代の川原亜矢子。 共演男性たちより背が高く、ノッポの妖精みたい。
お伽話のお城を想起させるマンション、目にも美味しい料理の数々、 森田映画は憂さを吹き飛ばしてくれる。 そうそう、LGBTQストーリーのハシリとも言えるのよね・・・
「他人のラヴ・シーンを観ても 面白くも何ともない」美加にとり、 本作は心地よい。 友情から愛情へ、みかげの作るお粥みたいに
さらさらっとトランスフォームしてゆく。 VIRGINで赤ちゃん産んじゃいそうなヒロインのキャラが愛おしい。
この時世にこそ、映画を作って欲しかった!
美加がNHK FMで番組を持っていた時代、ゲスト出演もしてくださり、
なんと「芝居をする気はないの?」と訊かれた。
咄嗟に「ありません」と答えてしまい、
ああ、後悔先に立たず・・・
せめて監督が遺してくれた作品を、現代の若者たちにも伝えていくぞ~!
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