1982年 オーストラリア映画 ピーター・ウィアー監督
(The Year of Living Dangerously)
ぬくぬくと恋はできない。 急き立てられて燃えあがる恋はよくわかる。 スカルノ政権末期の1965年インドネシアを舞台にした本作は、 飯田橋の名画座で観た記憶があるが、二本立てのもう一作が想い出せない。
影絵が映し出され、エキゾティックな音楽が流れる。 子どもらが影絵の人形劇に興じているタイトルから、 観客は見知らぬ国へと誘われてゆく。
美男子ぶりがまぶしい若きメル・ギブソン、 『エイリアン』(’79)で世界中の映画ファンから注目された シガー二ィ・ウィーヴァーが、刹那的な恋に燃え上がる 特派員ガイと英国大佐秘書ジルに扮する。 シガー二ィはメルより7歳年上、 「メルがあまりにハンサムで、キス・シーンは緊張したわ」と あるインタヴューで語っていたっけ。
危険なシチュエイションで燃え盛る恋を描きながら、 美味しい役どころをさらったのが小柄な”怪優”リンダ・ハント。 二人を結びつけるフォトグラファーを演じて、 女性が男性役を演じての初のオスカーを受賞した。 リンダ演じるビリーは正義を掲げながらも、 美男子のガイに自身を投影し恋を成就させたいという 屈折した一面も併せ持つ男。ビリーの存在こそ、本作の痛ましい個性。
ピーター・ウィアー監督は、オーストラリア出身であり、
カルト・ムーヴィー『ピクニック・アット・ハンギング・ロック』(’75)から、
ヒット作『刑事ジョン・ブック 目撃者』(’85)を繋いだ映画作家。
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