1978年イタリア映画エルマンノ・オルミ監督
(L’albero degli Zoccoli)
二日に一句は作ろうと日々を送っているが、 俳句と切り離せない農業には全く縁のない東京っ子の身。 『NHK BS俳句王国』にゲスト出演していた時代は、 結構なコンプレックスであった。農業は、映画や絵画でしか知らない。 農民たちの佇まいだけでも知ることが出来たら。
エルマンノ・オルミ監督の出世作である本作は、 19世紀末のイタリア・ベルガモ近郊の貧しい農民たちの生活を、 実際の農民たちの姿を借りて描き尽くした力作。 カンヌのパルムドール他、数々の賞に輝いた。 ミレーの『落穂拾い』『種蒔く人』などを想わせる映像が圧巻。
カラーでありながら色を感じられないルック。 農民たちの貧しさゆえの”色”のない日常。 ”イ”の項で紹介した、ジョン・フォード監督『怒りの葡萄』が彷彿となる。 オルミ監督は2018年に86歳で亡くなるまで、独自性のある作品を作り続けた。 晩年にアイディアあふれるアート志向の作品を遺してくれたことには、とりわけ感心する。
「映画が学校だったのね」と語ってくださった、今は亡き淀川長治先生を想い出す。
農民映画に駄作なし、炭鉱映画に駄作なし!
知らなくたって、いいじゃないか!
映画から学び、感じとれることはたくさん、沢山あるはず!
Comments