top of page

No.160『影の軍隊』

更新日:2023年4月24日

1969年 フランス映画 ジャン・ピエール・メルヴィル監督 (L’armee Des Ombres)

前回に掲げた『勝手にしやがれ』に特別出演しているメルヴィル。 ゴダールの大先輩だものね。 ”ウ”の項で紹介した『海の沈黙』(’47)で 長編デビューしたメルヴィルが手がけた大作である本作、 群像劇とも呼べるが、中心となるのは、迫力ある面差しのリノ・ヴァンチュラ。 子どものころ、テレビの映画番組でよく放映されていた ロベール・アンリコ監督作『冒険者たち』(’67)で知った俳優。 舞台となるのは1942年。ナチスドイツ軍占領下のパリ。 レジスタンスの強者であるヴァンチュラ扮するジェルヴィエが 収容所に護送されてくるところから、映画は始まる。 眼鏡をかけると、イメージがかなり変わるヴァンチュラ。

影の軍隊.jpeg
影の軍隊 (2).jpeg

ジェルヴィエとレジスタンスの仲間たちは、国外で指揮するドゴールの配下として ドイツ占領下のフランスで戦っている”影の軍隊”である。 同じフランス人であろうと、レジスタンス仲間であろうと、 逮捕され拷問を受けて口を割ったなら、例え仲間であろうと抹殺しなければならない。 処刑シーン、拷問シーンの静かな恐怖。 多くの映画作家に影響を及ぼしたメルヴィルならではの鬼気迫る演出である! 紅一点と呼べるシモーヌ・シニョレ扮する賢く勇敢な女闘士が、 女ゆえの要因により墓穴を掘る皮肉も心に痛い。

30作目の本作で”カ”の項を終わりにしたい。 フェリーニの『カビリアの夜』(’57)、ゴダールの『カラビニエ』(’63)、 ヴィスコンティ『家族の肖像』(’74)、日本映画では我が青春の一作、 森田芳光『家族ゲーム』(’83)などなど、 何度も劇場で観てきた”masterpiece”が、手持ちのDVD群にはないことに気づく。 いつかまた、観なおしたい。 今後は”キ”から始まる手持ち作品を観かえしてゆく。 56作と少ないため、チョイスが難しいなあ・・・


閲覧数:2回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page