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No.155『喝采』

更新日:2023年4月24日

1954年 アメリカ映画 ジョージ・シートン監督 (The Country Girl)


名歌手ビング・クロスビーがファースト・ロールを演じ、 セミ・ミュージカルの設えもありながら、 派手さのない一作である。 原題”The Country Girl”がすべてを物語っている。 グレース・ケリーが扮した、落ち目のミュージカル・スターの妻ジョージーこそ、 タイトルにある地方出身女性なのだから。

ヒッチコック作品などで、華やかなメイクアップとセンスの良い衣裳で 気品ある美しさを振りまき、 映画ファンの心をときめかせてきたグレース・ケリーが、 素顔に近いメイクで、年かさの夫を支え続ける悲劇の妻を演じる。 夫役のクロスビー、演出家に扮するウィリアム・ホールデンらでなく、 このジョージーという女性を見つめるべきストーリーと、わかってくる。

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数々のミュージカルに出演し美声を発揮、 明るく善良な主人公を演じてきたクロスビーが、陰の部分を持つ男に扮する。 麗しのグレースが地味な主婦に扮するのと同じくらいに珍しいこと。

然し、役者は意外な役で評価されるもの。 本作でグレースはオスカー(主演女優賞)を受けた。 『スタア誕生』で候補となっていたジュディ・ガーランドが、 ほぞを嚙んだというエピソードは知られるところだが、 演じすぎるジュディが、グレースの懸命さに負けたのも納得できる。 今回、観なおして感じたが、グレースの演技には 「どう?私、うまいでしょう」という雰囲気は微塵もない。

ジョージーが田舎町を出て、年の離れた夫と結婚するに至る 細かいエピソードがもう少し語られて欲しかったな。 戯曲をベースにした、台詞が主体の作品なればこそ!


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