1984年 イタリア映画
パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督
(Kaos)
蛇を掴み、鞭のように幼い息子を叩く父親の姿に総毛立った。 タヴィアーニ兄弟作品『父 パードレ・パドローネ』(’77)を 初めて観たときの衝撃を想い出す。
”名画座少女”時代に知ったフェリーニやヴィスコンティにより、 イタリア映画は我が人生になくてはならない存在となったわけだが、 すこし後に知ったのがタヴィアーニ兄弟であり、 今でこそコンビで映画製作をする兄弟は珍しくないが、 はしり的存在と言える。
本作は、六本木にあった『CINE VIVANT』で鑑賞、 シナリオや淀川長治VS蓮實重彦の対談などが掲載された 劇場パンフレットを懐かしくなぞる。
ノーベル文学賞に輝くルイジ・ピランデッロ『一年間の物語』をタヴィアーニ兄弟と、 名脚本家トニーノ・グエッラが脚色、目の覚めるような映画体験をさせてくれる本作。 飛びましたよ、飛びました!カラスとともに大空を!
渇いた空気、土の匂い、至福の海の色。残酷な宿命、ねじれた欲望、 オフビートな不条理、人間の尊厳、そして回帰。 今なお、オムニバス映画の頂点に君臨する作品と信じる。
80歳を過ぎて発表した 『塀の中のジュリアス・シーザー』(2012)の力強さを忘れない。
兄ヴィットリオが2018年に他界したためのコンビ終焉は残念だが、
過去の作品群を観る倖せが我々には残っている!
Comentários