1951年 日本映画 木下恵介監督
日本映画に於ける 初のカラー(総天然色)作品として知られる一作。 高峰秀子の顔は黒白画面で美しく引き立つが、 カラーでは如何に?う~ん、ちょっと腫れぼったくみえる。 しかし、見た目などどうでも良くなる存在感を見せつける ”デコちゃん” 流石!
浅間山の麓の村に帰ってくる高峰扮する踊子(ストリップ・ダンサー)リリー・カルメン。 浅草の劇場の休業期間に気分転換の里帰りという具合。 赤いドレスに鳥の羽根付き帽子のカルメンは滑稽でチャーミング。 やもめの父を支えながら家庭も築いている姉が、 馬の引くリヤカーにド派手なカルメンを乗せていく。村人たちは目をシロクロ!
戦争の傷を引きずる者、戦争によって財を得た者。 親の世代の口からよく聞いた”パンパン”という言葉が聞こえ、ドキッとする。 牛に蹴られてアタマが弱くなったらしいカルメンは故郷を飛び出し、 東京で”裸踊り”をして暮らしているが、誰に憚ることなく幸せそうである。
当時のロケ撮影は大変だったのだろうなと思わせるシーンも多々あるが、 東京っ子としては遠足で登った浅間山を望みながら ”裸踊り”のリハーサルをするカルメンが微笑ましい。
人の悪意に気づかない幸せ、 いや、気づかない悪意は真の悪意でないのかも。 おおらかで居ることの美徳を授けられたような気がする一作。
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