No.118『女はそれを待っている』
更新日:5月3日
1958年 スウェーデン映画 イングマール・ベルイマン監督 (Brink of Life)
初めての出産のとき、40時間かかった。 「ボーリングの球が、私のからだを突き破ろうとしている」という感覚は、 今でも容易に反芻できる。
世界中のシネアストから尊敬の念を抱かれている イングマール・ベルイマンの作品は、
”ア”の項で『秋のソナタ』(’78) 『ある結婚の風景』(’73)の二作を紹介したが、
本作は、年齢も立場も異なる三人の女性を一室に集めた、 妊娠・出産にまつわる一篇。


ベルイマンは女性を描いた作品を多く持つ。 クロース・アップを多用し、男の無理解、 人生の不条理を、訴えかける女たち。 公私ともにパートナーであった時期が周知である 名女優リヴ・ウルマンを勘定に入れずにして、 正式に5回の結婚歴があるベルイマンであるからこそ、 信憑性のある女性の描きぶりといえる。