1979年 アメリカ映画 ボブ・フォッシー監督
(All That Jazz)
子どもの頃からステージに立ち、 ダンサー・振付師・俳優・舞台演出家・映画監督として、 ショー・ビジネスの世界に浸りきってきたボブ・フォッシーが、 自らの”死”を一大ショーに仕立てた一作。
彼がフェデリコ・フェリーニのファンであることは知られて居り、 公開当時本作は、フェリーニの大傑作『8 2/1』になぞらえた ミュージカルなどと騒がれたもの。 おまけに撮影監督にはフェリーニ作品で知られるイタリア人カメラマン、 ジュゼッペ・ロトゥンノを起用するという凝りよう。 フェリーニ・フリークの美加としては、黙っていられず、 映画館へ走ったっけ。ああ、19歳に戻ってしまう!
ダンサーたちの身体が波打つ。 空気のどよめき、汗の匂いが伝わってくる。 初めて観たとき以上に! フォッシー自身である主人公に扮するのは、 どちらかというと二番手的な演技派ロイ・シャイダー。 『フレンチ・コネクション』(’71)での ジーン・ハックマンの相棒刑事役など、スターの脇に立つ渋い存在が、 本作では、しなやかに踊り、歌い、女たちと戯れる。 こんなに派手な役は似合わないはずだが、力演。
”After You’ve Gone””Who’s Sorry Now”などの 古いジャズソングもFEATUREされ、締めくくりは エセル・マーマンの”ショウほど素敵な商売はない” まるで生前葬のような本作を遺し、 フォッシーは8年後に60歳でこの世を去ってしまった。
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